こんにちは、数学畑の住人「じゃがいも先生」です!
今回は、高校数学でよく出てくるけれど、「なんでそうなるの?」と疑問に思いやすいテーマを取り上げます。
【高校数学】2つの円の交点にkが出てくる理由とは?
▶ 【結論】kは連立方程式の発想から生まれる!
中学校で習った「連立方程式」の応用だと思えば、実は難しくありません!
円で考える前に、まずは2つの直線からスタートしましょう。
【例題1】2直線の交点を連立方程式で求めよう
問題:
直線 \(l:\sf 2x-y-3=0\) と、直線 \(m:\sf x+2y-4=0\)の交点の座標を求めなさい。
解答:
2直線の交点は連立方程式
\begin{align}
\begin{cases}
&\sf 2x-y-3&\sf=&\sf 0&・・・&\sf ①\\
\\
&\sf x+2y-4&\sf=&\sf 0&・・・&\sf ② \\
\end{cases}
\end{align}
の解に等しいので、
①×2+②より
\begin{array}{rrrrrr}
&\sf 4x&\sf -&\sf 2y&\sf -&\sf 6&\sf =&\sf 0\\
+)&\sf x&+&\sf 2y&-&\sf 4&=&\sf 0
\\
\hline &\sf 5x&&&-&\sf 10&=&\sf 0
\end{array}
よって、\(\sf x=2\),\(\sf y=-1\)
つまり、交点の座標は 点\(\sf (x,y)=(2,-1)\)
連立方程式の計算を書き換えてみよう

①×2+②よりの計算式を書き換えてみるよ!
\begin{align}
\begin{cases}
&\sf 2x-y-3&\sf=&\sf 0&・・・&\sf ①\\
\\
&\sf x+2y-4&\sf=&\sf 0&・・・&\sf ② \\
\end{cases}
\end{align}
①×2+②より
\begin{array}{rrrrrr}
&\sf 4x-2y-6&=&\sf 0\\
+)&\sf x+2y-4&=&\sf 0
\\
\hline &\sf 5x-10&=&\sf 0
\end{array}
の部分は、書き換えると
\begin{array}{rrrrrr}
&\sf 2\left(2x-y-3\right)&\sf =&\sf 0\\
+)&\sf x+2y-4&\sf =&\sf 0\\
\hline &\sf 2(2x-y-3)+(x+2y-4)&\sf =&\sf 0
\end{array}
と表すことができますね。
【ポイント解説】なぜ式をk倍して足してもOKなの?

①×2としましたが、なぜ式を2倍してもOKなのでしょうか?

式を何倍にしても、xとyの解は変わらないから…?
連立方程式では、式を何倍しても、解そのものは変わらないのです。
つまり:
・直線 \(l: \sf 2x-y-3=0\) ・・・ ①
・直線 \(m: \sf x+2y-4=0\) ・・・ ②
・\(\sf 2\left(2x-y-3\right)+\left(x+2y-4\right)=0\)
はすべて、同じ点 \(\left(\sf2,-1\right)\) を通ります。
①の式を3倍や4倍にして計算を進めても、連立方程式の解(2直線の交点の座標)は変わりませんね。
①×3+② や ①×4+②だと、\(\sf x\) と \(\sf y\) の両方が消えずに残るので、直線を表す方程式となりますが、 その直線も点 \(\sf(2,-1)\) を通ります。
よって、
\(\sf k(2x-y-3)+(x+2y-4)=0\) は2直線の交点 \(\left(\sf2,-1\right)\) を通る直線を表す
と言えますね。
ここで出てくる k は、
・式を何倍しても解が変わらないという性質を使って
・「ある交点を通る別の式」を作るために使っている
というわけです!
【例題2】交点を通る円の方程式とkの使い方
問題:
2つの円 \(\sf x^2+y^2-10=0\) …① と \(\sf x^2+y^2-4x-2y=0\) …② の交点を通る円の方程式を求めよ。
▶ ステップ1:2円の交点を導くには引き算!
①ー②から
\begin{array}{rrrrrr}
&\sf x^2&+&\sf y^2&&& &&-&\sf 10 &=&\sf 0\\
-)&\sf x^2&\sf +&\sf y^2&\sf -&\sf 4x&\sf -&\sf 2y &&&=&\sf 0
\\
\hline &&&&&\sf 4x&+&\sf 2y &-&\sf 10&=&\sf 0
\end{array}
つまり、2つの円の交点は
直線 \(\sf 2x+y-5=0\) 上にある。
このことから、円①と円②をk倍して足すことで、交点を通る円が作れることになります!
▶ ステップ2:式をk倍して足してみよう!
①×\(\sf k\)+②から、
\(\sf k\left(x^2+y^2-10\right)+\left(x^2+y^2-4x-2y\right)=0\)
整理すると、
\(\sf \left(k+1\right)\left(x^2+y^2\right)-4x-2y-10k=0\)
これは、kによっていろんな円ができる方程式です。(\(k≠1\) のとき)
でもすごいのは
どんなkの値でも、必ず2つの円の交点を通る図形になること!
なぜなら、①と、②の円の式を連立させているから!
【まとめ】なぜ交点を通る式でkを使うのか?
▶ Point(結論)
「k倍して足す」ことで、2つの方程式の共通解(交点)を通る別の式ができる!
▶ Reason(理由)
中学で習った「連立方程式」の考え方と同じで、
式を何倍しても、その解は変わらない。 →だから「k倍して足す」という操作が有効!
▶ Example(例)
- 直線の交点:k(直線①) + 直線② = 0 で、交点を通る直線が作れる。
- 円の交点:k(円①) + 円② = 0 で、交点を通る別の円が作れる。
▶ Point(もう一度)
「2つの式の共通点を通る式」=「k倍して足した式」!
だから、交点を通る直線・円の方程式では、「k」がよく登場するのです。
△ じゃがいも先生からひとこと
この「k倍して足す」考え方は、ベクトルや空間図形にも応用できます。
「同じ点を通る式を作る技術」だと思って、しっかり理解しておきましょう!
それではまた次回の授業でお会いしましょう~!
(「じゃがいも先生の数学畑」では、高校数学の「なんでそうなるの?」をやさしく解説中!)
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