数学を学んでいると、「2, 3, 5, 7, 11, 13, 17…」と素数を覚えていく中で、ふと疑問に思うことがありますよね。
「1って素数じゃないの?」
確かに、素数の定義を考えると 1も素数で良さそう に思えます。
しかし、数学の世界では 1は素数ではない とされています。
それはいったいなぜでしょうか?

今回は 1が素数ではない理由 を、素数の定義や素因数分解と絡めて解説していくよ!
この記事を読めば、1が素数ではない理由がバッチリわかるだけでなく、素数や素因数分解の理解も深まること間違いなし。
わかりやすいように解説していくので、ぜひ最後まで読んでくださいね!
そもそも素数って何?
まずは、素数の定義を確認しましょう。
素数の定義
素数とは、
「1とその数自身以外に正の約数を持たない自然数」
のことを指します。
例えば、
- 2 の約数は【1, 2】 → 1と2だけ → 素数!
- 3 の約数は【1, 3】 → 1と3だけ → 素数!
- 4 の約数は【1, 2, 4】 → 1以外にも2がある → 素数ではない!(合成数)
このように、「1とその数自身だけが約数である数」を 素数 と呼びます。
2. じゃあ、1は素数なの?
この定義を1に当てはめてみると、
- 1の約数は【1】だけ
「あれ? 1とその数自身(1)だけだから、素数じゃないの?」
と思うかもしれませんね。
確かに、直感的には1も素数っぽいですが、1を素数にしてしまうと数学のルールが崩れてしまうのです!
3. 1が素数だと何が問題なの?
(1) 素因数分解がめちゃくちゃになる!
数学には 素因数分解 という大切な考え方があります。
素因数分解とは?
「ある整数を素数の積の形で表すこと」
例えば、
- 6 = 2 × 3(6の素因数分解)
- 12 = 2 × 2 × 3(12の素因数分解)
というように、すべての整数は素数の積で表すことができる のです。
さらに、数学の重要な性質として、
「素因数分解はただ1通りに決まる」
というルールがあります。(これを 素因数分解の一意性 という)
では、もし 1を素数にしてしまったらどうなるでしょう?
例えば、6を素因数分解すると…
- 6 = 2 × 3
- 6 = 1 × 2 × 3
- 6 = 1 × 1 × 2 × 3
- 6 = 1 × 1 × 1 × 2 × 3
1を何回でもかけられてしまい、素因数分解が無限通りになってしまう のです!
これでは 数学のルールがめちゃくちゃ になってしまいますね。
そのため、数学者たちは「1は素数にしない」と決めたのです。
(2) エラトステネスのふるいが使えなくなる!
素数を見つけるための有名な方法に、エラトステネスのふるい があります。
これは、ある数の倍数を消していくことで素数を見つける方法です。
エラトステネスのふるいの手順
① 2から順番に数字を並べる
② 2は素数なので残し、その倍数をすべて消す
③ 次の残った数3も素数なので、倍数をすべて消す
④ これを繰り返し、素数だけが残る
しかし、もし 1を素数にしてしまったらどうなるでしょう?
- 1の倍数はすべての整数 なので、ふるいを使うと 全ての数が消えてしまう のです!
これでは どの数が素数なのか判別できなくなってしまう ため、数学の基本的な理論が崩れてしまいます。
このような理由からも、1は素数に含めないほうが都合が良い のです。
4. 結論:1は素数ではない!
以上の理由から、1は素数ではない と決められました。
数学では、1を含めないほうがルールがきれいに保たれ、理論がスムーズに成り立つのです。
1は素数ではなく、特別な数!
実は、1は「単数(unit)」と呼ばれる特別な数 に分類されています。
「素数でも合成数でもない、特別な存在」として扱われるのです。
数学では「2以上の自然数のうち、1とその数自身だけを約数にもつ数」を 素数 と定義しています。
5. まとめ
Q. 1は素数じゃないの?
A. 素数ではありません!
Q. どうして?
- 1を素数にすると、素因数分解が無限通りになってしまう!
- 素数のルールや数学の定理が崩れてしまう!
Q. じゃあ、1は何なの?
A. 「単数」という特別な数!
結局のところ、数学の世界では1は素数ではなく、「2以上の数」にのみ素数の概念を適用することが一般的なのです!
おわりに
数学の世界には、まだまだたくさんの不思議があります。
「1が素数に含まれない理由」もその一つですが、こうしたルールは数学をより美しく、便利にするために決められたものなのです。
実は、素数かどうかの判別はとても難しく、有名な数学者でさえ間違えてしまうことがあります。
例えば、57は素数ではありません(57 = 3 × 19)。
しかし、フランスの数学者 グロタンディーク は、素数に関する講演の中で誤って57を素数の例として挙げてしまいました。
このミスが話題となり、「57はグロタンディーク数」 というあだ名がついてしまったのです。
数学は、誰でも間違えることがあるほど奥深い世界です。
だからこそ、考えることが楽しくなるのかもしれませんね!
また次回も、数学の面白い話をお届けします!👋✨
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